【これで忘れない!】グラム染色の細菌の覚え方(ゴロ付き)

医進ゼミの石戸です。

グラム染色の細菌の分類について、正しく答えられない人って
意外に多いんですよね。

しかし、コツをつかめば誰でも簡単に覚えることができます。

本日は、グラム染色の分類法について、
何をどのように覚えていけば良いのか?について解説致します。
あなたの勉強のお役に立てば嬉しいです。

グラム染色って何?

まず、「グラム染色とは何か?」から説明していきましょう。
この辺は、試験に出にくいところなので、
サラーッと聞き流し(読み流し)てください。

グラム染色は、細菌を分類するために考案された染色法です。

グラム染色は染まる色の違いによって、
「陽性」と「陰性」に分かれます。

紫色に染まれば「陽性」、赤色に染まれば「陰性」となります。

なぜ、染まる色が違うのか?とういと、
実は、細胞壁の構造の違いによります。

簡単に言えば、
グラム陽性菌は一層の分厚い層からなり、
グラム陰性菌は薄い多重構造の層
となっています。

染色方法については、
まず、「クリスタルバイオレット」「ゲンチアナバイオレット」という液を使います。
液の名前は覚えなくて良いですが、「バイオレット(violet)」という言葉に着目しましょう。
「violet」は「スミレ(花の名前)」という意味が第一の意味で、
そこから転じて花の色の名前の「紫色」という意味があります。

つまり、何が言いたいかというと、
この「クリスタルバイオレット」「ゲンチアナバイオレット」は紫色に染める液なのです。

紫色に染めた後、「エタノール」を使って脱色します。
つまり、紫色がなくなるのですが、脱色されるのはグラム陰性菌のみです。

なぜか?というと、
グラム陽性菌は「分厚い層」からなるので、色が取れないんです。

このままだとグラム陰性菌には色がついていないため、
「サフラニン」という赤色の色素を加えてグラム陰性菌を再度染色します。
(グラム陽性菌は紫色のままです)

こうして、グラム陽性菌は「紫色」にグラム陰性菌は「赤色」に染まります。
繰り返しますが、この部分はめったに試験に問われないので、
サラーッと聞き流して(読み流して)頂ければ良いです。

結論部分だけ、
グラム陽性菌は「紫色」にグラム陰性菌は「赤色」ということだけ
覚えておいてください。

グラム染色の分類は4つある

グラム染色がどんなものかわかったところで、
続いてグラム染色の分類を見ていきましょう。

先ほど、色で2種類に分かれるというお話しをさせて頂きました。
「紫色」に染まるのがグラム陽性菌
「赤色」に染まるのがグラム陰性菌
でした。

さらに、グラム染色では、「形」で分ける分け方があります。

丸の形をしていれば「球菌」、四角(長方形)の形をしていれば「桿菌」となります。

したがって、グラム染色には、次の4種類あります。

① グラム陽性球菌:紫色に染まり、形は「丸」
② グラム陽性桿菌:紫色に染まり、形は「四角」
③ グラム陰性球菌:赤色に染まり、形は「丸」
④ グラム陰性桿菌:赤色に染まり、形は「四角」

それぞれの細菌が、この4つのうちのどれに属するかが判別できることが重要になります。
例えば、「黄色ブドウ球菌」「溶連菌」「髄膜炎菌」「ウェルシュ菌」「大腸菌」などの菌が
上記の①~④のどれに該当するか、すぐに答えることができるでしょうか?

きっと自信を持って答えることができないと思います。
なぜなら、実際に授業をしていて答えられない人がめちゃくちゃ多いからです。

しかし、コツさえつかめば簡単に分類することができます。
続いて、グラム染色の細菌の分類の覚え方を紹介していきましょう。

これで大丈夫!グラム染色の細菌分類の覚え方

さぁ、長くなりましたが、いよいよ本題です。

グラム染色の分類について。
「グラム陽性球菌」「グラム陽性桿菌」「グラム陰性球菌」「グラム陰性桿菌」のいずれになるか?

実は、「グラム陽性球菌」と「グラム陰性桿菌」は楽勝です。
たった1つのことだけ覚えておけば全て分類できるからです。

楽勝!「グラム陽性球菌」と「グラム陰性桿菌」の覚え方

★グラム陽性球菌

グラム陽性球菌の覚え方は、「球」がつくものです。
「球」がつく細菌はグラム陽性球菌と覚えておきましょう。

実際に、「黄色ブドウ球菌」「表皮ブドウ球菌」「肺炎球菌」「腸球菌」と名前に「球」がつきます。
グラム陽性球菌の最近の代表的なものでもう1つ「溶連菌」があります。

・・・

「球」ついてないじゃん(怒)

とキレそうになった方、落ち着いてください。

「溶連菌」は「A群β溶連菌」「B群溶連菌」などありますが、溶連菌の正式名称は、
「溶血性連鎖菌」です。

「球」がついていますよね。

したがって、本当にグラム陽性球菌に属する最近は「球」がつくものだけなんです。
ただし、「溶連菌」と記載されていた時に、「球」が隠れているからグラム陽性球菌だということは忘れないでください。

★グラム陰性桿菌

続いて、グラム陰性桿菌にうつっていきましょう。
グラム陰性桿菌は、実はメチャクチャ多くあります。

例えば、次の細菌は全てグラム陰性桿菌です。

大腸菌・赤痢菌・チフス菌・ペスト菌・カンピロバクター・ピロリ菌・コレラ
腸炎ビブリオ・インフルエンザ菌・百日咳菌・緑膿菌・レジオネラ菌etc

メチャクチャ多いですよね(笑)

覚えやすいって言ったじゃん!(怒)

とキレそうになった方、落ち着いてください。

グラム陰性桿菌は多すぎるので、覚えてはいけないんです。
覚えてはいけないということだけ覚えておけばOKです。

つまり、先ほど紹介したグラム陽性球菌の覚え方と、
これから紹介するグラム陽性桿菌・グラム陰性球菌の覚え方を覚えて、
それ以外の細菌は全て「グラム陰性桿菌」だと覚えておけば良いです。

それでは、グラム陽性桿菌とグラム陰性球菌にはどんなものがあるか?
1つずつ見ていきましょう。

最難関!グラム陽性桿菌の覚え方

グラム陽性桿菌とグラム陰性球菌は具体的な細菌を覚えなければいけません。

その中で、グラム陽性桿菌が最も覚えにくいです。
ここを頑張って覚えてください。

グラム陽性桿菌は「リ」がつくものと覚えておきましょう。

具体的には、次の3つ

1.クロストリジウム属
2.ジフテリア
3.リステリア

です。この中で、最も重要なのは1のクロストリジウム属です。
どれも初めて聞くという方は、
まず、この「クロストリジウム属」だけでも良いので、覚えてください。

「クロストリジウム属」がなぜ大事か?というと、
理由が2つあります。

1つは、「属」と言われるくらいだから、複数存在しているからです。

★クロストリジウム属の分類

具体的には、クロストリジウム属に属する細菌は次の4つです。

1.クロストリジウム属
(1) クロストリジウム・ディフィシル
(2) クロストリジウム・テタニ
(3) ウェルシュ菌
(4) ボツリヌス菌

です。
このうち、「ディフィシル」と「テタニ」については、もう少し詳しく説明させて下さい。

「クロストリジウム・ディフィシル」というのは、
消化器の分野で重要な疾患を引き起こす原因となります。
それは、「偽膜性腸炎」という疾患です。

「クロストリジウム・テタニ」は、この言葉は聞きなれていないと思います。
しかし、この細菌によって起こる病気については、きっと聞いたことがあると思います。

それは、「破傷風」です。

「破傷風」の原因菌がこの「クロストリジウム・テタニ」なのです。
「クロストリジウム・テタニ」という細菌名で言われることは少ないため、
「破傷風」と覚えておいても良いでしょう。

したがって、クロストリジウム属は、

1.クロストリジウム属
(1) クロストリジウム・ディフィシル(偽膜性腸炎を起こす)
(2) 破傷風(正確にはクロストリジウム・テタニ)
(3) ウェルシュ菌
(4) ボツリヌス菌

と覚えておけば完璧です。

★ 芽胞とは?

さて、クロストリジウム属が重要である2つの理由のうち、
1つは「4つの細菌があるから」と言う理由でした。

もう1つの理由は何か?というと、
クロストリジウム属の細菌は芽胞を形成しているからです。

芽胞とは何か?というと、
簡単に言えば、「熱に耐える膜」です。

この芽胞があるために、クロストリジウム属の細菌は、
100℃の熱湯でも滅菌できません。
滅菌しようとすれば、121℃の水蒸気で20分以上かける必要があります。
芽胞のバリアの力は恐ろしいですね。。。

★クロストリジウム属以外の残りの2つの細菌の覚え方

話しを戻しましょう。
グラム陽性桿菌について見ているのでした。

1番重要なものは「クロストリジウム属」でした。

後の2つは、「リ」がつくもので、
・ジフテリア
・リステリア
でしたね。

この覚え方をどう覚えるかですが、
「クロストウム属」の「リ」と「ジ」に線を引いて覚えることをお勧めしています。

どういうことかというと、少し強引ですが、、、
「リ」がつく上に、「リ」と「ジ」がつくと覚えておきましょう。

フテア」

ステア」

どうですか?
少し強引ですね(笑)

「リ」がつく上に、「リ」と「ジ」がつくと覚えておけば、
少なくとも選択肢で出た時に選べる可能性が高くなるので、良ければ、この覚え方使ってみてください。

ゴロで倒す!グラム陰性球菌の覚え方

最後に、グラム陰性球菌です。

グラム陰性球菌に属する細菌は実は3つしかありません。

それは、何かというと、
「淋菌」「髄膜炎菌」「モラクセラ」です。

3つだけなので、この3つをおさえておきましょう。

とはいえ、なかなか覚えられないですよね!?

そんなアナタにゴロを授けましょう。

呪:淫乱Qちゃん淋菌もらって随分と膜炎症

です。

あっ「呪」を「呪う」と読む人いますけど、違います。
呪っても誰も幸せになりませんからね(笑)

「呪」は「呪文の呪」です。

★ 淋菌ってどんな病気?

ゴロの解説をする前に、淋菌ってどんな病気かご存知でしょうか?

淋菌は、性感染症で有名な病気です。

性感染症の原因菌の

1位はクラミジア、2位は淋菌、3位はヘルペス

と、堂々の第2位にランクインする細菌です。

したがって、「淋菌にかかりました」と聞けば、

「あっ!やっちまったなぁ」と思うわけです(笑)

そんな菌が淋菌です。

男女ともに、かかる病気なのですが、
男性と比べて女性の方が症状が弱いんですよね。

男性は痛みが強くなりすぐに病院を受診します。

一方、女性の方はというと、症状が弱いことが多いんです。
したがって、感染しても、「尿道炎」「子宮頸管炎」と「炎症」は起きても
自覚症状がなく、病因にかからないことも多いんですよね。

やがて、さらに上行感染して、
卵巣や腹膜に炎症が起きて発熱・下腹部痛が起きます。
この頃には病院にかかります。

話しがそれましたが、淋菌が女性に感染した場合、
男性よりも症状が弱いので、放置しておくことがあるのです。
その結果、「随分と長い間膜が炎症」します。

★ ゴロの解説

そして、またここにも、不幸にも淋菌に感染した女性がいました。

彼女の名前は、「Qちゃん」(プライバシー保護のため実名は伏せています笑)

Qちゃんは淫乱で性交渉を繰り返しています。
そして、性交渉を繰り返した結果、パートナーの男性から、
淋菌をもらいました。
しかし、自覚症状はまだないので、放置しています。
つまり、「随分と長い間膜が炎症」しています。

この状況をまとめたのが先ほどの覚え方

呪:淫乱Qちゃん淋菌もらって随分と膜炎症

なのです。

淫乱の「淫」→グラム陰性
Qちゃん→球菌
淋菌→淋菌
もらって→モラクセラ
随分と膜炎→髄膜炎菌

となります。

長くなりましたが、グラム陰性球菌はこのゴロでおさえておいてください。

まとめ

以上、グラム染色による細菌分類についてまとめました。
長くなったのでまとめると、
①グラム陽性球菌:紫色に染まり形が球形→「球」がつく細菌
②グラム陽性桿菌:紫色に染まり形が長方形→「リ」がつく細菌
※クロストリジウム属(ディフィシル・破傷風・ウェルシュ菌・ボツリヌス菌)
ジフテリア・リステリア
③グラム陰性球菌:赤色に染まり形が球形→ゴロで覚える
淫乱Qちゃん淋菌もらって随分と膜炎症
→ 淋菌・モラクセラ・髄膜炎菌
④グラム陰性桿菌:赤色に染まり形が長方形→上記①~③以外の細菌

とても効果的な覚え方ですので、ぜひ使って頂ければと思います。

このように、ポイントをおさえて覚えていけば、無数に覚えることがありそうなものでも
覚える量が少なくてすみます。
医学の勉強をする時にはとても大切な勉強法なので、ぜひ、ポイントをおさえることを
意識して頂ければと思います。

この記事がグラム染色の細菌分類で困っている人の助けになれば嬉しいです。
本日もご覧下さりありがとうございました。

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