【これで完璧!】秀逸すぎる効果的な生ワクチンの覚え方(ゴロ)(医師国家試験の演習問題付き)

医進ゼミの石戸です。

本日のテーマは「ワクチン」について。

実はワクチンは、
医師国家試験(国試)において
超重要です。

実際、ワクチンの問題は、医師国家試験(国試)で、
過去10年間

毎年出題されています

そんな超頻出のワクチンですが、
意外と覚えきれていない人が多いです。

本日は、ワクチンについて
・ワクチンとは何か?
・ワクチンは大きく分けて3種類
・最も重要なワクチンは「生ワクチン」
・「生ワクチン」の覚え方(ゴロ)
・空気感染を起こす疾患
というテーマでお届け致します。

医師国家試験の過去問も掲載していますので、ぜひチャレンジしてください。
とても重要な内容が盛りだくさんなので、ぜひ、お時間がある時にご覧ください。
それでは、さっそく見ていきましょう!!

そもそもワクチンって何?

まず、始めに「ワクチンとは何か?」について説明していきましょう。

「ワクチン」という言葉は、
漫画やゲームにも登場するので、何となく
「毒に効く注射」
と思っている人も多いのではないでしょうか?(あれ?私だけ??)

この感覚は正しいです。

実は、ワクチンとは、
「病原体から生成した、病気に対する抗体を生じさせるもの。」
であり、免疫に関わるものなんですね。

ざっくりと、「ワクチン摂取」とは、
「人為的に行う免疫強化方法」
と理解しておいて頂けば十分です。

ワクチンは何種類あるの?

さぁ、この免疫力を作るワクチンですが、
大きく分けると何種類あるかご存知でしょうか?

実は、ワクチンの種類は大きく分けると3種類あります。

その3種類とは・・・

1.生ワクチン
2.不活化ワクチン
3.トキソイド

です。

学生
学生
え?免疫力をつける方法が3種類あるってことですか?? 

と思った方もいるかもしれません。

これは半分正解で半分不正解です。

どういうことか?説明していきましょう。
(少し長くなるので、「覚え方!はよ!!」と思っている方は読み飛ばして下さい 笑)

★免疫を高める方法は2通りのみ

人為的に免疫力を高める方法は、2通りしかありません。
・液性免疫
・細胞性免疫
の2通りです。

両者がどのように違うかというと、病原体を殺す方法が違います。
・液性免疫は銃を使って病原体を殺します
・細胞性免疫は直接殺します

いわば、
・飛び道具と体術の違い
ワンピースで言うと
・エースとCP9の違い
と言っても良いでしょう(笑)

液性免疫は銃を使って殺すと言いましたが、
この銃のことを「抗体」と言います。
そして、銃をつくる細胞はB細胞(形質細胞)と言います。

一方、細胞性免疫は直接殺すと言いました。
この直接手を下すこの細胞のことをキラーT細胞または細胞傷害性T細胞と言います。

つまり、ざっくりといえば、免疫力を高める方法は、

・銃(抗体)で打って殺すB細胞(形質細胞)の強化
・直接殺すキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)の強化

の2通りしかありません。

勉強と同じで、何事も繰り返せば上達するということなんですね(笑)

学生
学生
じゃあ、ワクチンの種類も2通りになるんじゃないの?何で3通りもあるんですか?? 

そう、次に疑問に思うのは、
「免疫力の強化方法は2通りなのに、
ワクチンの種類は3通りあるのか?」ですよね。

実は、これ、殺す対象が異なることで、3種類生じています。

どういうことか?
詳しく説明していきましょう。

★3種類のワクチンの違いとは?

ワクチンの種類は、

1.生ワクチン
2.不活化ワクチン
3.トキソイド

の3種類だとお伝えいたしました。

この3種類がどのように異なるか見ていきましょう。

ワクチンとは人為的に作り出した病原体でしたね。

この病原体の種類が、

1.生ワクチンは、生きている状態の病原体
2.不活化ワクチンは、死んだ状態の病原体
3.トキソイドは、毒素が病原体

となっています。

それぞれのワクチンによって、先ほど紹介した
液性免疫(飛び道具)と細胞性免疫(体術)が強化されます。

1.生ワクチンでは、液性免疫(抗体)と細胞性免疫(キラーT)の育成
2.不活化ワクチンでは、病原体に対する液性免疫(抗体)の育成
3.トキソイドは、毒素に対する液性免疫(抗体)の育成

生ワクチンとは、「生きている状態」の病原体です。
感染力を持っていますが、誰でも殺せるように、弱らせた状態にしています。

病原体は生きているわけですから、殺さないといけないので、
生ワクチンでは、直接殺すキラーT細胞の育成もできます。

したがって、他の2つのワクチンと比べて
生ワクチンは高い免疫力を作ることができるというメリットがあります。
一方、弱らせた状態にしているとはいえ、感染力を持つ生きた病原体ですから、
生ワクチンは、安全面で他の2つのワクチンには劣るという欠点があります。

一方、不活化ワクチンは、死んでいる状態なので、
病原体を殺すキラーT細胞は活躍しません。

「この形を持つ病原体が体に入ってきたら、この玉(抗体)を打つんだぞ」と
教育を受けて終わります。

キターT細胞が活躍しないのは、トキソイドも同じです。
トキソイドはそもそも、ウイルスや細菌を直接体に入れるわけではありません。
毒素だけ体に入れています。

この毒素を攻撃する銃(抗体)を作るのが、トキソイドによる効果になります。

★ 3種類のワクチンのイメージ

今まで長々と説明してきました。しっかり説明してきましたが、
それでもこの3つの違いはいまいちピンときていない人も中にはいると思います。

そんな人に向けて私(石戸)がいつもお伝えしている「イメージ(例え)」があります。
次のようにイメージしてもらえば、3つの違いがわかりやすいので、紹介しておきます。

例えて言えば、このワクチンの違いは、
「毒の吹き矢で殺す人」です。

毒の吹き矢を吹く人を殺すのが、「生ワクチン」「不活化ワクチン」です。
毒矢自体を攻撃するのが「トキソイド」です。

そして、毒の吹き矢を吹く人が生きていたら、
そのまま吹いて体に害を及ぼす可能性があります。。。

だから、一刻も早く吹き矢を吹く人には死んでもらう必要があります。
だから、「生ワクチン」では、キラーT細胞も活躍します。

一方、毒の吹き矢を吹く人が死んでいたら、
毒矢を吹く可能性はありませんよね。
だから、「不活化ワクチン」では、キラーT細胞は活躍しません。
死んでいる人の人相を覚えておき、同じ人が侵入した時に、
殺せるように、銃(抗体)を準備しておきます。
これが、「不活化ワクチン」です。

今までは、毒の吹き矢を吹く人を攻撃していましたが、
そもそも体の平和を乱す直接の物質は「毒矢」です。
つまり、毒矢自体を攻撃して、無効化することで、体の平和を保つこともできます。

毒がついていない、矢を体に入れて、
銃(抗体)で撃つ練習をするのがトキソイドです。

いわば、相手が打ってきた手裏剣を剣で防ぐ。
相手が打ってきた銃の玉を剣で切る。
そんな神業を行うのがトキソイドによる免疫力強化です。

ちなみに、トキソイドは、神業なので、種類が圧倒的に少ないです。
「ジフテリア」「破傷風」を覚えておけば十分です。

最も重要なワクチンは「生ワクチン」

さぁ、長くなりましたが、いよいよ本題に入ります。

先ほど登場した3つのワクチンの中で、
最も重要なワクチンは何か?というと、「生ワクチン」です。

考えてみたら、当然ですよね。

「生ワクチン」は高い免疫力がつく代わりに、
「生きている病原体」を扱うので、他の2つのワクチンと比べると
危険であるというお話をさせて頂きました。

取り扱いに注意しなければいけないワクチンであるわけですから、
当然、試験で一番問われるのも生ワクチンということになりますね。

実際、国家試験でも次のように問われています。

(第107回医師国家試験E30)
我が国において予防に生ワクチンが使われているのはどれか。2つ選べ。
a 結核
b 風疹
c 日本脳炎
d 細菌性髄膜炎
e 肺炎球菌性肺炎

少し、イレギュラーな出題方法で、
下記のような問題も過去に出題されています。

(第110回医師国家試験G7)
不活化ワクチンはどれか。
a MRワクチン
b 水痘ワクチン
c BCGワクチン
d 日本脳炎ワクチン
e ロタウイルスワクチン

実は、不活化ワクチンは、覚える必要がありません。
先ほど紹介したトキソイド(「ジフテリア」「破傷風」)と
これから紹介する生ワクチンを覚えたら、
それ以外は、不活化ワクチンだと覚えておけば大丈夫なんです。

したがって、上記の110回G7の問題は、実質、
「生ワクチンはどれか覚えていますか?」
という問題になります。

2問紹介致しましたが、生ワクチンの問題はこんなもんではありません。
冒頭でも述べたように、
ワクチンの問題は毎年国家試験で出題されています。

本当に、重要な内容ですので、しっかり生ワクチンを覚えてくださいね。

それでは、いよいよ本日のメインディッシュ「生ワクチンの覚え方(ゴロ)」をご紹介しましょう。

※上記、2つの正解は、生ワクチンの覚え方を紹介した後に発表致します。

「生ワクチン」の覚え方(ゴロ)

「生ワクチン」の覚え方はムロタコマンドと呼ばれるものになります。

え?初めて聞きました??

それはそうでしょう。
「ムロタコマンド」と命名したのは私(石戸)ですから(笑)

ちなみに、この覚え方自体は医大生の頃に先生から教えてもらったものです。

全国のムロタさんには、申し訳ありませんが、
「ムロタコマンド」をご紹介していきましょう。

呪:生意気な風に豆まけムロタ

いつも、言っていますが、この「呪」は「呪う」ではありません。
教えている相手を呪う先生なんていません(笑)
この「呪」は、「呪文」の「呪」です。

本当に、全国のムロタさんゴメンナサイ。。。

ただ、「豆をまけ」と命令するだけではなく、
「生意気な人」っぽく豆をまいてくださいと命令しています。

生意気なまき方って、どんなまき方なんでしょうね?
勢いよく相手にぶつける感じでしょうか??
きっと、すごい勢いで豆がまかれているのだと思います(笑)

さて、話を戻しましょう。

この覚え方、ムロタさんには失礼な覚え方ですが、
大変秀逸な覚え方なのです。

それぞれ、説明していきましょう。

呪:生意気な風に豆まけムロタ

生 → 生ワクチン
風 → 風疹
豆 → 水痘・帯状疱疹
ま → 麻疹
け → 結核
ム → ムンプスウイルス(流行性耳下腺炎)
ロタ → ロタウイルス

となります。

「水痘」と「帯状疱疹」は同じヘルペスウイルス3型が原因で起こります。
小児期に水痘に感染した人が発症するものが「帯状疱疹」なので、
「水痘・帯状疱疹」とまとめました。

また、ワクチンには名前がついているので、
余力がある人は、ワクチンの名前も覚えておきましょう。

麻疹と風疹はセットでMRワクチンと言われます。
麻疹は英語で「measles」風疹は英語で「rubella」と言うので、
それぞれの頭文字をとってMRワクチンという名前がついています。

また、結核はBCGワクチンといいます。
「BCG」という言葉は聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか?
ハンコを腕に押したあのワクチンがBCGワクチンです。

以上、生ワクチンの覚え方についてご紹介致しました。
メチャクチャ重要なので、絶対におさえておきましょう。

医師国家試験のワクチンの問題にチャレンジ!

それでは、上記の「ムロタコマンド」を使って、
ワクチンに関する医師国家試験の問題を解いていきましょう。

「ムロタコマンド」があれば瞬殺です!

(第107回医師国家試験E30)
我が国において予防に生ワクチンが使われているのはどれか。2つ選べ。
a 結核
b 風疹
c 日本脳炎
d 細菌性髄膜炎
e 肺炎球菌性肺炎

「ムロタコマンド」で正解はa,bです。

(第110回医師国家試験G7)
不活化ワクチンはどれか。
a MRワクチン
b 水痘ワクチン
c BCGワクチン
d 日本脳炎ワクチン
e ロタウイルスワクチン

こちらも「ムロタコマンド」で解決ですね。

MRワクチン→麻疹・風疹/BCGワクチン→結核でした。
「ムロタコマンド」の中に含まれないものは、dですね。
したがって、正解(不活化ワクチン)はd。
残りの4つは全て生ワクチンとなります。

空気感染する感染症の覚え方

いかがでしょうか?
「ムロタコマンド」の凄さを感じて頂けているでしょうか?

かなり満足して頂いているかもしれませんが、
「ムロタコマンド」の優秀さはこんなものではありません。

実は、「ムロタコマンド」で空気感染する感染症も覚えることができます。

空気感染とは何かというと、
「長い時間空気中を浮遊することができるため感染力が強い感染症」です。

空気感染する疾患といえば、3つ

水痘・麻疹・結核です。

これも、メチャクチャ試験によく出る重要事項です。

空気感染する疾患も「ムロタコマンド」を使えば一発です。

先ほど、ムロタさんに何を命令したか覚えていますか?

そう「豆まけ」と命令したのでした。

だから、空気中には、豆がたくさんまかれています。

これって、空気感染のイメージじゃないですか!?

そうです。

「豆まけ」に相当する3つが空気感染する感染症です。

つまり、まとめると、次のようになります。

空気感染する感染症
豆→水痘(・帯状疱疹)
ま→麻疹
け→結核

「ムロタコマンド」によって、生ワクチンと空気感染する感染症がまとめて覚えることができます。

このように、
覚える上で、1つのもので複数覚えることができるように工夫すると、
より多くのことが覚えられるだけでなく、忘れにくいのでお勧めです。

まとめ

本日は、ワクチンについての記事を書きました。
先日の「グラム染色の分類と覚え方」(←リンク+黄色のハイライト)の記事のような超大作となりました。

長くなったのでまとめると、

1.ワクチンとは、「免疫力」を高めるために作られた病原体
2.ワクチン(病原体)の種類は「生ワクチン」「不活化ワクチン」「トキソイド」の3種類
3.「生ワクチン」は免疫力を高める効果が最も強いが、安全面に注意する必要がある
4.「トキソイド」は「破傷風」「ジフテリア」の2つ
5.「生ワクチン」は「風疹」「水痘・帯状疱疹」「麻疹」「結核」「ムンプス」「ロタウイルス」の6つ
6.「不活化ワクチン」は「生ワクチン」と「トキソイド」以外とおさえておく
7.「生ワクチン」の覚え方は「ムロタコマンド」
8.「ムロタコマンド」を使えば空気感染する感染症も覚えることができる
9.空気感染する感染症は「水痘・帯状疱疹」「麻疹」「結核」
10.空気感染は「ムロタコマンド」の「豆まけ」部分

ということをおさえておきましょう。

もちろん、「ムロタコマンド」の中身、

呪:生意気な風に豆まけムロタ
生 → 生ワクチン
風 → 風疹
豆 → 水痘・帯状疱疹
ま → 麻疹
け → 結核
ム → ムンプスウイルス(流行性耳下腺炎)
ロタ → ロタウイルス

も絶対覚えておきましょう。

本日もご覧下さりありがとうございました。

(追伸)
自分で言うのもなんですが、、、
医進ゼミでは、このように、わかりやすい授業を行っています。
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(追追伸)
先日、まとめた超大作「グラム染色の分類と覚え方」も好評です。
まだ、ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

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