【CBTとは?】医学部4年生が受けるCBTってどんな試験?医師が徹底解説!

医進ゼミの石戸です。

「CBT」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

CBTとは医学部4年生が受ける
医学部版(医大生用)のセンター試験のようなものです。

「言葉だけは聞いたことがあるけど、
どんな試験か知らないから教えて下さい!」

そんな声をよく頂くので、
本日は、このCBTの試験について、

・出題数
・試験時間
・採点基準
・出題割合
・出題形式

など、徹底的に解説していきます。

医大生の1年生〜4年生の方の参考になれば嬉しいです。

ガッツリいきます!CBTの解説の概要の手順について

まず、はじめに断って置かなければいけないのですが、
本記事は超大作になります。(笑)

全て読んで頂けたら、とても嬉しいのですが、
医大生の方が忙しいことは重々承知しています。
できれば、自分にとって必要な情報だけ知りたい
という方も多いことでしょう。

したがって、まずは、この記事の徹底解説の解説の順番をお伝え致します。

最初から最後までご覧頂くという使い方をして頂いても良いですし、
必要な部分だけピックアップしてご覧頂いても大丈夫です。
今のあなたの状況に合わせて、記事をご活用ください。

それでは、本記事の構成について説明致します。
本記事は大きく3つのパートに分かれています。

・Part1:CBTが他の試験と違う点(CBTの特徴)
・Part2:CBTの実施内容
・Part3:CBTの具体的な出題内容

さらに、各パートは3つずつに項目が分かれています。

・Part1「CBTが他の試験と違う点(CBTの特徴)
① CBT・1つ目の特徴)コンピューターを使って試験を受ける
② CBT・2つ目の特徴)採点されない問題がある
③ CBT・3つ目の特徴)受験生ごとに問題が異なる

・Part2「CBTの実施内容」
① CBTで出題される問題数は?
② CBTの試験時間は?
③ CBTの採点基準・合格基準は?

・Part3「CBTの具体的な出題内容」
① 出題範囲と出題割合は?
② 出題形式は?
③ 4連問って何?

上記の内容で解説していきます。

もし、あなたが1年生〜3年生の方であれば、
CBTの概要をサクッとおさえるために、
Part1だけご覧頂くという形でも良いかと思います。

あなたの状況に応じて本記事をご活用ください。

CBT徹底解説)Part1:CBTが他の試験と違う点(CBTの特徴)

まず、初めにCBTが他の試験と違う3つの点について解説させて頂きます。

① CBT・1つ目の特徴)コンピューターを使って試験を受ける

今まであなたが受けてきた試験は、全て紙を使った試験だったと思います。
今までの試験と違い、CBTは、全てコンピューターを使って試験を受けます。
つまり、コンピューターで問題を見て、コンピューター上で答える試験がCBTです。

ちなみに、CBTという言葉は、
「Computer Based Testing」という言葉の頭文字を取っています。
言葉からも「パソコン使って受ける試験やで!(キリッ)」という意向が見られますね(笑)

② CBT・2つ目の特徴)採点されない問題がある

私(石戸)が4年生の時は、このことに衝撃を受けました。
そうです。CBTでは、採点されない問題があるのです。

その割合はなんと全体の4分の1
あなたが解いた問題の4つに1つは採点されない問題という変わったテストになっています。
なぜ、採点されない問題があるのか?については、Part2の③のCBTの採点基準・合格基準のところで詳しく話します。

③ CBT・3つ目の特徴)受験生ごとに問題が異なる

最後の特徴が、受験生ごとに試験問題が異なるという点です。
これは、「問題の順番」が異なるのではなく、「問題の内容」が受験生ごとに異なります。
同じCBTという名がつく試験を受けてはいるけれど、内容は全く違う試験を受けているという独特な試験です。

この時点では、「CBTって、一体何なの?何がしたいの??」という気持ちを持たれていることと思います。
色々な疑問点を持たれていることと思いますが、その疑問はPart2、Part3で解決していくので、焦らず読み進めてください。(笑)

CBT徹底解説)Part2:CBTの実施内容

CBTが、

「4分の1は採点されなくて、受験生ごとに問題が違う、コンピューターを使って行う試験」

ということがわかったところで、次に、試験の実施内容について見ていきましょう。

① CBTの出題数は?

CBTでは6ブロックに分かれて出題されます。
この6ブロックは順番にAブロックからFブロックと呼ばれています。

各ブロック数の出題数は、
Aブロック〜Dブロック:各60問(合計240問)
Eブロック・Fブロック:各40問(合計80問)
となっています。

すなわち、合計の問題数は240問+80=320問となります。
最初のAブロックからDブロックでは、出題形式が「5つの中から1つ選ぶ」という形式で同じです。
出題内容が違います。(詳しい出題内容はPart3の①で説明させて頂きます)

一方、Eブロック・Fブロックについては、出題形式がA〜Dブロックとは異なります。
(Eブロック・Fブロックの具体的な出題形式はPart3の②で説明させて頂きます)

先ほどから申し上げている通り、320問のうち、4分の1に相当する80問が採点されません。
つまり、AブロックからDブロックでは、60問中15問が採点されず、Eブロック・Fブロックでは、40問中10問が採点されません。

② CBTの試験時間は?

CBTの試験は、先ほど申し上げたブロックごとに実施されます。
AブロックからFブロックの6ブロックに分かれていますが、全て試験時間は60分となります。

つまり、CBTの試験時間は、全部で6時間となります。
合計6時間の試験を1日で行います。

③ CBTの採点基準・合格基準は?

CBTの内容について、ついてこれているでしょうか??
この部分が本記事で一番の山場となります。

「疲れたなぁ」と思った方は、少し休憩を取った後に、続きを読まれることを推奨致します(笑)
大事なところなので気合を入れて、最後まで、しっかりついてきてください!
それでは、気を取り直して、やっていきましょう!!

★ 採点されない問題と採点される問題の違いは何?

「採点されない問題がある」と言いましたが、「採点される問題」と「採点されない問題」の違いは何でしょう?

それは、「過去に出題されたことがある問題かどうか?」です。

つまり、
・過去にCBTで出題されたことがある問題(既出問題)は採点される問題
で、
・新しく出題された問題(新出問題)は採点されない問題
ということになります。

Part1で「受験生ごとに問題が異なる」ということをお伝え致しました。
「受験生ごとに問題が異なる」という状況だと、
「自分だけ難しい問題ばかり出題されたらどうしよう??」
と不安になる人が多いと思います。

その不安を取り除くために、
過去に出題された問題で、
一定以上の正答率がある良質な問題だけを採点される問題としています。

つまり、どれだけ易しい問題であろうと、難しい問題であろうと、CBTの歴史上最初に出題される問題は採点されません。
採点されない80問の問題というのは、CBTの歴史上最初に出題される新出問題なのです。

「受験生ごとに問題が異なる」という制度だからこそ、
適切な問題かどうかを判断するために、「採点されない問題」が生まれたとも言えますね。

ちなみに、採点される過去に出題されたことがある問題(既出問題)は、「プール問題」と呼ばれています。
平成31年度の厚生労働省発表のデータによれば、このプール問題は27,000問あるそうです!!

この問題数からも分かる通り、プール問題にどんな問題があるかは、非公表となっています。
仮に、全部プール問題を教えてもらえたとしても、全てを把握することは不可能ですね(^_^;)

ちなみに、医師国家試験は、全受験生共通の問題で全問題と公式解答が公表されています。
※医師国家試験がどんな試験かについては、別記事で書いているので、下記記事も参考にしてください。
→ 記事のリンク

★ CBTの合格・不合格はどうやって判断するの?

「採点されない問題」と「採点される問題」がわかったところで、次は、「合格・不合格の判定」について説明していきましょう。

結論から言うと、CBTの合格・不合格は、IRT値(別名:項目応答理論)という値を使って判断されます。
先ほど、申し上げたように、「受験生が受ける試験の問題はバラバラ」です。
したがって、問題が違うので、得点で合否を決めると不公平になりかねません。
同じ知識量を持っている人が試験に臨めば、
難しい問題が出題された人ほど得点率が低くなり、易しい問題が出題された人ほど得点率が高くなるからです。

したがって、単純に点数で判断するのではなく、難易度を考慮した値で評価しています。
この難易度を考慮して求めた値が「IRT値」となります。

つまり、CBTの試験においては、点数で順位をつけても実力順に並ばない可能性が高いけれども、
IRT値を使って順位をつければ、理論上、実力順に並べることができるということです。
ちなみに、CBTの成績表が返ってくるときは、このIRT値を元にした順位が返却されます。

★ CBTで何割取れれば合格できるか?

最後に、あなたが最も聞きたいことだと思う
「で、なんぼ取れば合格になるの?」
について、お伝えしておきます。

実は、CBTの合格となるIRT値は大学ごとに基準が異なります。

また、大学によっては、基準を上げる大学もあります。
実施、私(石戸)が通っていた岡山大学医学部では、ちょうど私が4年生の時に、
合格基準が引き上げられました。
このように、大学ごと・年度ごとに、合格となるIRT値は異なります。

多くの大学で採用されている基準となるIRT値から、
目標得点の目安は65%となります。

ただし、ギリギリCBTに合格した方の医師国家試験合格率が悪いというデータが出ているため、
進級できるギリギリのラインを攻めないことをお勧め致します。

CBT徹底解説)Part3:CBTの具体的な出題内容

CBTについて
「試験時間6時間、問題数320問、受験生ごとに問題が違うコンピューターを使って受ける試験」
「320問のうち採点される問題は過去に出題されたことがある問題240問、合格・不合格は難易度を考慮したIRT値を使って判断される」
「合格ラインは大学ごとに異なり、概ね65%以上取れたら合格できるところが多い」

ということをお伝えしました。最後に、CBTの具体的な出題内容について見ていきましょう。

① CBTの出題範囲と出題割合は?

CBTの出題範囲と出題割合は次のようになっています。

出題内容 出題割合

(1) 基本事項 約4.2%
(2) 医学一般 約20.8%
(3) 人体各器官の正常・病態等 約37.5%
(4) 全身に及ぶ生理と病態 約20.8%
(5) 診療の基本 約8.3%
(6) 医学・医療と社会 約8.3%

上記のうち、
「医学一般」の内容が「基礎医学」に相当し、
「人体各器官の正常・病態等」と「全身に及ぶ生理と病態」が「臨床医学」に相当します。
「基礎医学」と「臨床医学」の違いについては、下記記事をご覧ください。
→「医学部6年間の流れを医師がざっくり説明してみた」の記事リンク

② CBTの出題形式は?

続いてCBTの出題形式について説明していきましょう。
CBTがAからFの6ブロックからなることは既に説明致しました。

このうち、AからDブロックは5つの選択肢が与えられて1つ選ぶ形式となります。
例えば、次のような問題です。

医進ゼミの代表者の名前を答えなさい。
a 斎藤 b 田中 c 鈴木 d 石戸 e 道明寺

このように、5つの選択肢から1つを選ぶ問題がAからDブロックの出題となります。

Eブロックの出題は、「多選択肢」と言って、選択肢が増えます。
それまで、5つだった選択肢が8つから13個に増えます。
選択肢が増えると、勘で合わせることが難しくなり、本当にわかっていないと正解できないようになります。
A〜Dブロックの上位互換ブロック、それがEブロックの試験となります。

最後のFブロックの出題形式は、それまでとは一風変わった出題となり、通称「4連問」と呼ばれています。
この「4連問」については、次の項目で詳しくお話致します。

③ CBTの最終ブロック「4連問」って何?

さぁ、CBT徹底解説もいよいよ最後となりました。
CBTの最難関と言われる「4連問」について具体的な例を上げながら説明していきましょう。

「4連問」というのは、
1つの症例に対して、順番に「医療面接」「身体診察」「検査」「病態生理」の順番に聞かれる問題です。

例えば、次の症例をご覧ください。

35歳男性。39℃を超える発熱と関節痛を主訴に来院した。
問1 医療面接で聞くべきことを選んだ時に、最後に残るのはどれか?
a 周りで同じ症状の人はいますか?  b 発熱はいつからですか?
c 咳や痰はでますか?        d 今日は何月何日ですか?
e 最近海外に行きましたか?

という形で問題が出題されます。
高熱で関節痛といえば、、、「インフルエンザ」ですよね。
そう考えたら、a,b,cの質問は必要ですよね。

また、海外渡航歴があれば、「デング熱」などの重篤な感染症も考えられます。
聞いておいて損はないでしょう。

そう考えた時に、一番聞かなくて良い質問は、dの「今日は何月何日ですか?」という質問ですよね。

これは、4連問をかなり簡単にした作成した問題ですが、
このような感じで、第1問目は、医療面接で聞く内容についての問題が出題されます。

そして、一度、選択肢を選ぶと、次の問題では、問1の答えが反映された次の問題が出題されます。
この時、先ほど選んだ問題に戻ることはできません。

35歳男性。39℃を超える発熱と関節痛を主訴に来院した。発熱は3日前から続いており、咳・痰も見られる。
最近の海外渡航歴はない。家族で同じ症状の者がいるという。
問2 この患者に最も認められる可能性が低い身体所見はどれか?
a 筋肉痛 b 頭痛 c 妄想 d 悪寒 e 全身倦怠感

CBTの「4連問」のイメージが伝わっているでしょうか?

このように、次の問題に進むと、第1問の内容が反映された問題文に変わります。
そして、「あっ、今日は何月何日ですか?って聞いていない」と間違えたことを悟ります(笑)

ちなみに、第2問は、インフルエンザを想定して考えると、cの「妄想」が見られない所見となります。
この問題は、「4連問」をイメージして頂くために、作っている問題であり、実際の4連問はこんなに簡単ではありません。

このような形で、問3で「検査」について。問4で「病態生理」について順番に聞いていく。
そして、一度選んで次に進めば戻ることはできない。
それが、CBTで最も特徴的だと言われる「4連問」となります。

CBTのまとめ

いかがでしょうか?
かなりの超大作となりましたが、CBTについて、どんな試験かイメージが湧いたでしょうか?

かなり、長くなったのでまとめると、

CBTとは、
1.4年次に医大生が受ける試験である
2.コンピューターを使って受ける試験である
3.試験時間は6時間
4.出題数は320問
5.320問のうち、採点されるのは240問
6.問題は受験生ごとに異なる
7.問題が異なるため、評価は得点率ではなくIRT値(項目応答理論)を用いる
8.大学ごとに合格となるIRT値は異なる
9.65%点が取れたら合格となる大学が多い
10.出題形式は240問は5択問題、40問は多選択肢問題、40問は4連問
11.4連問では、「医療面接」「身体診察」「検査」「病態生理」の順に聞かれる
12.4連問で一度選択肢を選び次に進むと前に戻ることができない

となります。CBTについて、どんな試験かわかったとなれば嬉しいです。

CBTの試験は、医師国家試験を受ける基礎学力をつける試験となっています。
したがって、「合格点を取れれば良いや」と考えて勉強するのではなく、
「高得点を取るぞ」という意識で勉強して頂ければ後々楽になります。

ぜひ、CBTで高得点を取れるよう頑張ってください。
CBTで合格点が取れるだけでなく、高得点が取れること祈っております。

(追伸)
医進ゼミでは、効果的なCBT対策を行っております。
難関といわれる「4連問」で学年1位を取った実績もあります(川崎医科大学にて)。
効果的なCBT対策を行いたいという方は、ぜひ、医進ゼミにお問い合わせ下さい。
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