医学部6年間のざっくりとした流れを医師が説明してみた

医進ゼミの石戸です。

昨日の記事で、
川崎医科大学2年生の1学期期末試験の流れについて
説明させて頂きました。

上記記事の中で、
「基礎」と「臨床」という言葉が出てきましたが、
丁度よい機会なので、本日は、医学部6年間のざっくりとした流れを簡潔に説明したいと思います。

ちょうど、医学部に入ったばかりの1年生や、
「医学部に行きたいなぁ」と憧れを持って日々奮闘している
医学部受験生のお役に立てば嬉しいです。

医学部6年間をざっくりと分けると??

まず、初めに、超基本的なお話しからさせて頂くと、
医学部・歯学部・薬学部は大学を卒業するまでに6年かかります。
(ちなみに、その他の学部は4年で卒業です)

この医学部の6年間を大きく分けると3つに分かれます。
(A) 1・2年生   (B) 3・4年生   (C) 5・6年生

それぞれの時期に次のことを学びます。
(A)1・2年生・・・基礎 (B)3・4年生・・・臨床 (C)5・6年生・・・実習

大学によって、科目の名称や勉強する科目数は違えど、上記のように3つに分かれています。

はい、ということで、本日は以上です。

・・・

とは、さすがにならないです(笑)
これだけだと、よくわからないと思うので、補足していきましょう。

各グループで学ぶこと

先ほど、分けた「基礎」「臨床」「実習」について、
具体的にどんなことを学ぶのかを、さらにざっくりと説明していきます。

「基礎」というのは、簡単に言うと、正常な人体の構造と機能です。

一方、「臨床」というのは、簡単に言うと、病気についてです。

基礎科目とは??

考えてみたら、当たり前のことですが、
「異常事態」であると判断するためには、
「正常な状態」がわかっていないといけません。

例えば、ちょうど今の時期(真夏)に昼の外の気温が5℃と言われた時に、
「おかしい」と思いますよね!?この「おかしい」と思う
のは、
真夏は30℃を超える暑さである事がわかっているからです。

ですから、医学部に入っても、いきなり「病気」についてバンバン習っていくことはしません。
まずは、人にとって、正常な状態とはどんな状態なのか?を勉強していきます。

したがって、1年生・2年生は、
さまざまなところにスポットライトを当てて、その場における「正常」がどんな状態か?を見ていきます。

例えば、
「人体の構造」にスポットライトを当てて、「正常」な状態を学ぶ場が「解剖」です。
「熱になったとき」にスポットライトを当てて、病気に対する「正常」な反応を学ぶ場が「免疫」という科目です。
「人体で起きている化学反応」にスポットライトを当てて、人体で起こる「正常」な化学反応を学ぶ場が「生化学(代謝学)」という科目です。

このように、様々な角度にスポットライトを当てて、「正常」な状態を1年生・2年生の時に学びます。
そして、この「正常」な状態を学ぶ科目のことを「基礎科目」と言います。

臨床科目とは??

「正常」な状態がわかったら、3年生・4年生では、「異常」な状態について学びます。
具体的には、「異常」な状態を起こす原因別に学んでいきます。

原因別は大きく分けると「部位別」「時期別」「機能別」の3つに分かれます。

「部位別」とはその字が表しているように、ダメージを受けている部位のことです。
例えば、脳がダメージを受けることによって起こす病気は、「脳神経」という科目でまとめて習います。

「時期別」とは、子どもの頃にかかりやすい病気という風に特定の状況下で起こす病気のことです。
具体的には、「小児科」「産婦人科」などがあげられます。

「機能別」とは、病気を引き起こした原因別のことです。
「病気」と言っても、その原因は、
・ばい菌の侵入によって起こった
・体力が減って防御力が下がったことによって起こった
など、さまざまな原因が考えられます。
前者は「感染症」という科目で、後者は「免疫・アレルギー」という科目で病気を習います。

少し、この辺は難しいと思いますが、3・4年生では、
「部位」「時期」「機能」という様々な角度から、病気を習っていくということがわかれば十分です。
そして、このように病気について学習する科目を「臨床科目」と言います。

医療の現場に飛び立つ時

正常な状態と異常な状態がわかれば、いよいよ現場に飛び立つ時です。
「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、実際に本で学習したことよりも、
現場で実際に見させて頂く方が多くの情報を得ることができ頭にも残りやすくなります。

例えば、本で「直径数cmの硬い腫瘤」と描かれていても、具体的な硬さや大きさはイメージができませんよね。
さらに、実際の医療では、機械的に「異常部位」だけ治せばよいわけではありません。
患者さんとのコミュニケーションも重要になってきます。
生の患者さんを診察させて頂くことで、医師になる力をはぐくんでいく時期が5年生・6年生です。

学生に見てもらうのは不安・・・

5年生から、実際に医療現場に立ち、診察をさせて頂くという話しをさせて頂きました。
その時に、このように思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「え??学生さんに診てもらうのはイヤ」

確かに、知識や技術がない学生さんに診てもらうのはイヤですよね。

だからこそ、誰でも患者さんを診ることができるわけではなく、
患者さんを診るにふさわしい、最低限の知識と技術を持っているかどうかを試す場が
4年生の時期に設けられます。

最低限の知識をみる試験は「CBT(シービーティ―)」と言われ
最低限の技術をみる試験は「OSCE(オスキー)」と言われます。

つまり、このCBT・OSCEという2つの試験をクリアした人だけが、
実習のステージに進むことができます。

そして、2年間の実習が終わると、
実習をきちんと行い、医師として活躍するのに十分な資格があるかどうか?が
卒業試験・国家試験で試されます。

こうして、勉強続きの6年間を過ごし、
国家試験を見事突破した方が医師免許を手にすることができるのです。

医学部6年間のザクッとした流れのまとめ

以上、医学部6年間の流れについて説明させて頂きました。
長くなったのでまとめると、

((POINT)) 医学部6年間のザクッとした流れ
1・2年生・・・正常構造・機能を学ぶ(基礎科目を学ぶ)

3・4年生・・・病気について学ぶ(臨床科目を学ぶ)
4年生の後半には
・CBT・・・医療現場に立つ最低限の知識があるかどうかをみる試験
・OSCE・・・医療現場に立つ最低限の技術があるかどうかをみる試験
という2つの試験を突破し、
5・6年生・・・患者さんを診させて頂く(実習を行う)
そして、6年生の終わりに、
・卒業試験
・医師国家試験
があり、この2つを突破した人が医師になれる!

ということでした。
何かの参考になれば嬉しいです。

ちなみに、昔は実習は5年生からだったのですが、
現在は4年生の1月から実習が開始となる大学がほとんどです。
この臨床実習が前倒しになった理由については、以下の記事にまとめているので、
良ければ、合わせてご参考にして頂ければと思います。

また、「医師国家試験は難しいか?」という記事も過去に書いていますので、
少し先の話しにはなりますが、医師国家試験の難易度についても、
良ければご参考にして頂ければと思います。

最後に、あなたの医学部6年間が実り豊かなものになること、
心より祈っております。

(追伸)
大学生活を充実したものにするには、
プライベートはもちろん、
勉学の充実も必要不可欠です。

医進ゼミでは、効果的な大学の試験に向けての対策を行っていますので、
大学の試験対策に困ったときには、ぜひご相談ください。

オンラインでの授業も行っておりますので、全国どこの大学でも対応可能です。
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